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2008年 03月 20日
アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生



雨の休日。
写真を撮る気にもなれなかったので気分転換を兼ねて「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」を観に行って来ました


彼女の著名さはここで特筆する事もないので省略しますが、もしご存じない方はタスマニアのフォトグラファー、
マナブさんの記事
をプロの視点の一意見としてお読み戴けるとより楽しめます

エリザベス女王のポートレイトや記憶に新しい「マリー・アントワネット」のあのゴージャスな映画のポスターを手がけた、と書くとイメージしやすいでしょうか


私は映画のコマーシャルとして多くのセレブレティ達を虜にした、とか
アニーが撮ると言えばどんな有名女優でも裸になる……などのキャプションには興味がなく、
女性フォトグラファーの半生を描いたドキュメンタリー映画として非常に興味を持っていて
彼女の写真集を何度も観ては、これは「商業写真」なのか?もしくは個人的な「作品」なのか?
それともただの日常スナップなのか?と長い間、謎でした

このドキュメンタリー映画でやっと合点があい、同時に驚きと撮る事への情熱を戴いた感じです



「生きるように撮り、撮るように生きる」



彼女も映画の中で死にゆくその日にも撮っていたいと語っています
写真集はとにかく朝から晩まで撮り続け、まるで生き急ぐようなカメラとの日々が伝わり
評論家であり小説家でもある恋人のスーザン・ソンタグ女史の死までも克明に撮り続け、
土葬シーンさえも作品にしてしまう完成度の高さは天才と言うべきひとりの女性なのでしょう


写真は永遠よ、と彼女は軽やかに笑い、物凄いスピード露出を変え、
中判カメラを全て手持ちで撮影してるシーンは圧倒的にハンサムでプロフェッショナルでした


ファッション誌をはじめ、政財界で華やかな作品を撮る反面、まるで呼吸をするように食事でもするように日常の全てを記録して来たアニー・リーボヴィッツはこの映画の中で「被写体の一部になってしまうのよ」と何度も言っています



魂を感じるポートレイトはただ美しいのではなく揺るぎない何かを感じ
合成かと思わせる夢のようなセットもほんの瞬時に撮影してしまうアニーの根本はこの言葉の中に隠されている気がします



商業ベースの枠を超えた作品の数々で驚く事は、この写真もあの写真も同じフォトグラファーが撮ったのだという感性の幅の広さと自由な表現力


50代になって3人の母親になるそのパワフルな人生もさることながら、
本当のプロフェッショナルとは単にセンセーショナルなだけではなく、
理論だけでもないと言う事を再確認した日でした



世の女性陣に、母なる人に、家族を愛する人に、プロフェッショナルとして活躍している人に、

そしてカメラや写真に全く興味がない人でも必ずパワーが貰えると思います




まだ観ていない人の為に余り感想を書けないですがどうぞお許しを




(画像は映画との関連性は全くありません)


アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生_c0154732_23281061.jpg







「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」H.P

by un-chat | 2008-03-20 23:35 | 好きなモノ


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